コラム記事一覧

  • 松井冬子さんとコラボレーションしました

    本日発売の『月刊美術』5月号の巻頭特集に日本画家の松井冬子さんと私の対談「ようこそ、古美術の世界へ。」が載っています。

    『月刊美術』編集長の若林さんより、松井さんの作品(掛軸)を蒼穹堂に持ってきて、それに合うような古美術品とコラボレーションしてほしいという依頼があり、急遽実現した企画です。
    松井さんの作品は、2011年横浜美術館における個展に出品された「應声は体を去らない」という題の掛軸で、仏教絵画「九相図」に想を得たものです。死んだ女性が腐敗し白骨化していく過程を描いたものです。
    私は、その掛軸を一日眺めて、約2200年前の漢時代「黒陶双耳大壺」大小2点をぶつけることにしました。アンフォラ形で牛眼とよばれる不思議なデザインの黒陶で、四川省の理蕃文化にのみみられる造形で、一見中国というよりは古代ギリシアの作品のようにみえる壺です。
    結論から言いますと、松井さんは「大きさや形も良いですけど、質感や切れの良さも本当に素晴らしいです」と、たいへん喜ばれました。実際、松井さんの作品を背景に、その大小の壺は存在感を示し、両者は独特の雰囲気を醸しだしました。百聞は一見に如かずと言いますので、月刊美術のウエブサイト http://www.gekkanbijutsu.co.jp/backnumber/1305/ をごらんください。

    もう一つのバージョンで、やはり漢時代の「灰陶舞女俑」も松井作品とコラボレーションしましたが、それも不思議なくらいよく合いました。時を超えて対峙する死後の世界の女性二人とでも言いましょうか。共通するのは、双方ともに芯に力強いものが宿っているということでしょうか。

    松井さんは真剣にそれらの古美術品に対峙し、とても素直に感動されていました。お聞きすると、小さい頃から古美術が好きで、興味があったそうです。古陶磁だけでなく、葛飾北斎のファンでもあるということが分かり、大いに話がはずみました。

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    FM J-WAVE 小黒一三さんの番組「ロハストーク」( 20:40 - 20:50 )に4月30日(火)ー 5月3日(金)に出ます。すでに録音は終わっていますが、4日間に分けて放送されるそうです。小黒さんのペースにのって、勝手気ままに話しましたので、自分でもどんな内容かよくわかりません。
    よろしかったら聞いてください。

  • アートフェア東京 ご報告

    先週、3月22日(金)〜24日(日)まで開催されたアートフェア東京は、好評裏に終了しました。
    21日のプレビュー当日は19時のNHK ニュースでも大きく報道されました。経済が上向きになってきているので、美術品に対する関心も高くなってきているという内容でした。蒼穹堂の外側の壁面に飾った浮世絵の3枚続きもクローズアップされました。そのせいでもありませんが、浮世絵版画は完売しました。  おもしろかったのは、オーソドックスな浮世絵よりもコンテンポラリー調の画題・色彩のものが人気がありました。 本業の陶磁器も中国 新石器時代のフクロウたちや、漢加彩壷などに注目が集まり営業成績も上々でした。 なにより常連の方はもとより、初めてお会いする方などといろいろなお話ができるのはアートフェアの醍醐味だと思います。

    余談ですが、同じ21日のテレビ朝日の18時のニュースに私が登場しました。数日前、ニューヨークのオークションで2億1千万円で落札された北宋時代の定窯碗についての取材だったのですが、なんとその碗は出品者が数年前にニューヨーク州のガレージセールで3ドルで買い求めた品だったのです。女性キャスターの「こういうことはよくあるのですか?」という問いから始まり、古美術品の見かたや、値打ちについていろいろお話をしました。可笑しかったのは、一時間半にわたる蒼穹堂での取材のあと、取材クルーは西新井のフリーマーケットへ掘り出し物を探しに行ったことです。そして、そこで購入した品物(1000円)の画像を私にメールで送ってきて鑑定と評価を依頼してきましたが、もちろんオソマツなもので、私は100円の評価額をつけました。「堀り出そうと思ったら、逆に掘り出されますよ。」と、あんなに忠告したのに・・・残念でした(笑)。

  • もうすぐアートフェア東京です

    本日は啓蟄、二十四節気のひとつで、冬ごもりの虫がはい出てくる日です。
    実際、今日は急に春らしい陽気になりました。
    私事ですが、私の誕生日が3月6日で、啓蟄がだいたいその前後ということですので、小さい頃から妙に身近な気がしていました。何も私が虫というわけではないと思うのですが・・・。
    3月22日(金)から24日(日)までアートフェア東京2013が東京国際フォーラムで開催されます。
    今回、浦上蒼穹堂のブースはD-10です。中国・新石器時代の灰陶フクロウ家族はじめ、春秋戦国時代の印文硬陶や黒陶、漢時代の加彩陶器など魅力いっぱいの展示にしようと思います。
    外壁面と内側の一角には、浮世絵版画三枚続などの作品で一足早いお花見を楽しんでいただこうと考えています。いろいろ盛りだくさんな展示を心がけますのでぜひご来場ください。お待ちしております。

    2月1日にBS朝日で放送された「青の宇宙史〜フェルメールから北斎へ〜」という番組で生物学者の福岡伸一さんと私が北斎とその作品について語り合いました。蒼穹堂で2時間ぐらい撮影したのですが、それが1月の大雪の日で、窓の外はまるで雪国のような風情でした。その番組を見られた多くの人たちから「一体どこで撮影したんですか? 蒼穹堂北国支店?」というお問い合わせをいただいたりしました(笑)。福岡伸一さんは昨年末以来5、6回お会いしましたが、とても感じの良い方で、美術に対しても造詣が深く、何より真摯な学究的姿勢が印象的です。


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  • 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます

    皆さま、どのようなお正月をお過ごしになられましたでしょうか?
    私は元旦の朝、初日の出を拝み、近所の御嶽神社に初詣、帰りにコンビニで朝刊5紙を買い求め
    一応全紙に目を通しました。今年は政治、経済のたてなおし、そして文化力を磨くことが待ったなしの課題と思います。
    1月2日は東京国立博物館へ行き、東洋館リニューアルオープンの展示を見てきました。大勢の方で混み合っていましたが、学者、コレクター、美術商のお知り合いにもたくさん会うことができました。
    もちろん家族はじめ、恒例になっている旧友たちとの新年会などで飲食過多、せっかく減った体重もややリバウンドしました。まあこれが正月というものでしょうか(個人的言い訳です・・・)。
    1月6日のNHK日曜美術館は小林忠先生が出演され、北斎の「冨嶽三十六景」で幕開け、1月8日はBSプレミアムで「在外秘宝 北斎漂流」が再放送(私も出演していました)され、銀座のフェルメールセンターでは「あっぱれ北斎!光の王国」展が開催されていて、北斎は相変わらずの人気です。1月14日18:00〜はJ-WAVEで「HOKUSAI ROCKS」と題する番組が放送されます。私も秀島史香さんと北斎について語り合います。休日ですので、お時間のある方はお聞きください。
    なお、前回のブログで、渋谷ヒカリエに於いて「北斎漫画」展(第2弾)を5月15日〜27日に開催予定とお知らせしましたが、その日程が確定しました。ご期待ください。

    本業の古陶磁につきましても、一層奮励努力して良いものを見つけ出し、皆さまにお目に掛けたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

  • 今年もお世話になりました。来年(2013年)の企画展のご案内

    本日12月28日をもちまして、2012年の仕事納めとさせていただきます。
    10日前のブログにも書きましたが、今年1年、いろいろとお世話になり有難うございました。
    思い起こせば、繭山龍泉堂での修業時代や浦上蒼穹堂の草創期には大晦日まで店に出ておりましたが、時代の推移と申しましょうか、近年は大分早仕舞になりました。銀行が12月31日に営業しなくなった事も大きいのかもしれません。来年2013年5月には独立開業して満34年を迎えます。
    オフィシャルな催しとしては、
    2013年3月22日〜24日にはアートフェア東京(東京国際フォーラム)
    2013年4月26日〜28日には東京アートアンティーク(日本橋・京橋地域)
    2013年10月18日〜20日には東美特別展(東京美術倶楽部)
    に参加いたします。
    なお、渋谷ヒカリエに於いて「北斎漫画」展(第2弾)を5月15日〜27日に開催予定にしています。

    また、根津美術館に於いて山口県立萩美術館・浦上記念館所蔵の「東洋陶磁と浮世絵の名品」展が6月1日〜7月15日に開催されます。私も記念座談会に参加いたします。

    どの企画展、催事もそれぞれ切り口を変えた展観を心がけますので、どうぞお出かけください。

    それでは皆さま、良いお年をお迎えください!

  • 今年もおしつまりました。

    早いもので、今年もあと十日余り残すだけとなりました。
    「え〜本当に?!」と思うのは私だけではなく、かなりの人が同感なのではないでしょうか。
    しかし今日などは、真冬の寒さで「師走」というのが少し体感?(納得)できる気がします。
    仕事、雑用に追われていて、今年一年を振り返る余裕はまだありません。が、やはり年末は来し方を思い、来年の展望に想いを馳せることが必要ではないでしょうか。私も仕事納め(今年は12月28日金曜日)の後、そういう時間を持とうと思っています。

    今年一年、いろいろとお世話になりました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

    ところで現在、フダンヅカイというサイトで「浦上蒼穹堂の日々」と題した私へのインタビュー記事が連載中(全十回)です。ご興味のある方はどうぞご覧ください。

    http://fudandukai.com/hokusaimanga/index.html


  • 東美アートフェアは好評でした。

    長くて暑〜い夏も過ぎ、といっても東美アートフェア(10月5日〜7日)の頃もまだ暑かった気がします。しかしさすがに11月ともなると朝夕めっきり冷え込んできました。本当にさわやかな秋という季節はどんどん短くなってきてるように思います。
    さて東美アートフェアには大勢の方々に来ていただき、浦上蒼穹堂の展示もよく見ていただきありがとうございました。本日、東京美術倶楽部で「2012東美アートフェア」の報告会があり、出展者が集いました。いろいろな資料が配られましたが、嬉しいことに「特に印象に残った出店ブース」というアンケートで浦上蒼穹堂が第1位に輝きました。「加彩騎馬美人俑の展示が、大変印象に残りました。展示のコンセプトも面白く、物語性を感じました。」というコメント付きでした。今後とも緊張感と豊かさの感じられる展観を心がけたいと思います。ありがとうございました。

  • 10月5日(金)〜7日(日) " 2012 東美アートフェア " 開催

    10月5日から7日までの3日間、東京美術倶楽部で " 2012東美アートフェア " が開催されます。
    浦上蒼穹堂は、昨年と同じく4階のブース4-3に於いて中国古陶磁の優品を展示いたします。
    下の写真にもありますように、宋定窯刻花文鉢は大へん優美な作品です。一方、唐加彩騎馬美人俑(4体)と同牛車・騎馬兵士俑(2体)は約1300年前の唐時代のスケールの大きい世界を現代に伝えてくれます。「百聞は一見に如かず」、ぜひ実物をご覧ください。お待ちしております。

    開催日時
    10月5日(金) 10:00 - 19:00
    10月6日(土) 10:00 - 18:00
    10月7日(日) 10:00 - 17:00
    会場:東京美術倶楽部
    ブース 4-3

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  • 渋谷ヒカリエ「北斎漫画」展 好評裏に終了

    5月30日から6月11日まで渋谷ヒカリエ8/CUBE1,2,3で開催した「北斎漫画」展は、13日間で2万人を越す来場者があり好評裏に無事終了することができました。会場にお越しくださった方々やいろいろ応援していただいた皆さまに心より御礼申し上げます。13日間は長いようで短かったと申しましょうか、連日夜8時まで来場者が絶えずその対応に追われっぱなしでした。少なく見積もっても10%〜20%の来場者が興味深く長時間「北斎漫画」や「富嶽百景」(額装両方で132点展示)に見入っていました。数にして2000人〜4000人の人たちが北斎の作品とよい出会いを持ったということは大へん意味深いものと考えます。あらためて北斎はすごいと感じました。
    今後の「北斎」版画の展開についても計画的、構築的に進めていこうと思っています。


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  • 渋谷ヒカリエ8/CUBE 「北斎漫画」展開催!

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    浦上蒼穹堂は、5月30日(水)から6月11日(月)まで、話題の渋谷ヒカリエ8/CUBEで「北斎漫画」展を開催します。葛飾北斎の描く『北斎漫画』130点、『富嶽百景』85点(展示替えあり)を額装の状態で展示いたします。特に『北斎漫画』は1993年〜94年にかけて4つの美術館で開催された「芸術のニッポン展」に出展されたものです。摺りも状態も大へん良い作品なのでぜひご高覧ください。会期中無休で11:00〜20:00です。会場は渋谷ヒカリエ8階のCUBE1,2,3で約30坪のスペースですが中央にあるより大きなスペースCOURTで「北斎漫画」デジタルアーカイブ(凸版印刷(株)と浦上蒼穹堂の共同開発)による高精細な映像もご覧いただけます。
    会場でお会いできることを楽しみにしております。


    「北斎漫画」展 ー世界中のアーティストが注目したスケッチブックー
    会期:5月30日(水)〜6月11日(月)
    時間:11:00〜20:00
    会場:渋谷ヒカリエ(8F) 8/CUBE1,2,3
    入場無料

    http://www.hikarie8.com/cube/2012/05/post-4.shtml