霜月も終わろうとしています

恒例?!の月末ブログ更改です。

まず嬉しいニュースです。前回お伝えした東美アートフェアの報告会が11月7日にあり、来場者のアンケート集計の中で「印象に残った出店ブース」という項目で、浦上蒼穹堂が112店の中で第1位になりました! 前回(2年前の秋)も第1位でしたのでディフェンディングチャンピオンのような良い気分になりました。皆さまのおかげです、どうもありがとうございました。

4日(火)は、東京芸術学舎で「世界を驚かせた北斎と北斎漫画」という講義をしました。これは「日本人の好きなものは全部浮世絵に描いてある」というテーマで全5回、各々異なる講師が、それぞれの専門分野のお話をするというものです。第1回目が10月22日の安村敏信氏の「江戸絵画の見かた」で、私は第2回目でした。ちなみに12月18日の第5回目は市川猿之助丈が「江戸の人々の好きなもの、見たかったもの」という講義をされます。夜の7時半から9時半までの2時間の講義でしたが100人近い受講生の方々が大へん熱心に聴講されました。講義の後、有志20名ほどで懇親会もあり、大いに盛り上がりました。皆さん、信濃町駅から終電に駆け足で乗って帰られました(私も)。

11日(火)国立西洋美術館館長の馬渕明子さんが蒼穹堂に来られました。2017年に計画されている展覧会の協力要請のためにお見えになったのですが、実に気さくで素敵な方でした。去年の8月に西洋美術館館長ならびに独立行政法人国立美術館理事長に女性研究者として初めて就任され、日本サッカー協会副会長もされています。馬渕さんはジャポニスム研究の第一人者で、私もご著書はいろいろ読んでいましたが、お会いするのは今回が初めてでした。'懐の深い方'という印象を持ちました。展覧会に向けていろいろ意見交換し、大いに盛り上がりました。当然、展覧会には全面的にご協力したいと思っています。


20141129c.jpg先週の日曜日23日は、「国際浮世絵学会 秋季大会」で基調講演をいたしました。今年が北斎漫画初編刊行200年という節目の年ということで、『北斎漫画蒐めつづけて45年1500冊』という演題でお話しました。浮世絵研究者や学者、美術館の人々が多くいらっしゃる中で、やや緊張しましたが「北斎漫画」をただ面白い絵手本というだけでなく、一歩踏み込んだ視点からいろいろな資料を交えてお話しました。その後、シンポジウム「北斎と国貞」にもパネリストとして登壇し、歌川派の総帥である国貞(三代豊国)と北斎の関係性についてミネアポリス美術館のアンドレアス・マークス氏、リーズ大学のエリス・ティニオス氏、大阪市立美術館の秋田達也氏、学習院大学の藤澤茜氏と議論しました。40年以上重なった活動時期があるにもかかわらず、これまで国貞と北斎が共に語られるケースがあまりなかっただけに画期的なテーマでした。結論からいうとやはり両者がうまくかみ合わないで終わってしまった感が否めませんが、司会の太田記念美術館の日野原健司氏のけんめいな努力もあり、会場はそれなりに盛り上がりました。お疲れさまでした。

いつも思うのですが、人前でお話をするというのはその時はとても大へんで、引き受けなければ良かったと後悔するのですが、自分がそれに向けて考えをまとめたり、勉強するということはとても良いことだと感じます。(そんな機会でもなければちゃんと勉強しないということでもあります。)

まだ年内3本ほど講演をする予定ですが、変わり種は12月11日(木)築地の料亭「新喜楽」で春画のお話をします。これは日本経済新聞(日経カルチャー)からの依頼で、参加者の方々と作品を一緒に鑑賞しながら酒食もともにするという、江戸時代に春画を見て楽しんでいた雰囲気に近づけたらと思っています。ご興味のある方はhttp://www.nikkeicl.co.jp/tour/kokunai04.phpを見てください。

北斎はじめ浮世絵関係のことばかり書きましたが、本業の中国朝鮮日本の古陶磁も当然ながら活発にやっております。ニューヨークや香港・中国からコレクターやディーラーが頻繁に来られます。11月は東京美術倶楽部秋期大会や尚壺会大会などディーラーズオークションがあり、国外でもサザビーズ、クリスティーズはじめ活発なオークションシーンが展開されました。良いものがどんどんなくなっていっている状況をひしひしと感じるのは私一人ではないと思います。

明後日から、いよいよ師走です。皆さまもお忙しくなられると存じますが、くれぐれもお身体を大切になさって頑張ってください。