コラム 古陶磁ー彩陶豆

彩陶豆

中国新石器時代馬家窯文化(B.C.3800−2000)
高さ25.3cm
弓場紀知著「古代の土器」(平凡社)所載

素焼きの肌に黒やセピア色で彩色文様を施した一群の土器を、一般にアンダーソン土器とよんでいます。それは1921年、スウェーデンの地質学者J・アンダーソンが中国の河南省仰韶村において彩文土器を発見したことによっています。ここに中国陶磁の歴史は、新石器時代までその発祥が遡ることとなったのです。
アンダーソンは、その彩文をもった土器の起源を西アジアではないかと考えたのですが、20世紀後半、中国の考古学者たちの精力的な調査、研究により中国の彩文土器は中国という文化圏の中で発祥し、展開したということが証明されました。また、中国では土器という称をつかわずに、土器も陶とよぶので、これらの彩文土器も彩陶とよばれます。
この豆とよばれる台鉢のような作品は、黄河上流、甘粛省の馬家窯文化の典型作です。今から約5000年前の作品とは思えない斬新な幾何学文が描かれています。