コラム 古陶磁ー唐白磁共蓋万年壺

中国 唐時代(AD618-907)
高さ23.8cm
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前回、白磁とは白い素地に透明釉をかけ、高火度焼成したやきものと定義しましたが、その白磁の起源は近年の調査、研究で、北斉時代(550- 580)ということがわかってきました。そして、隋時代を経て唐時代に大いに発達します。技術的にいえば、それまで主流だった青磁から、胎土や釉薬の不純物を取り除くことによって白磁は完成します。その背景として、当時の貴族たちの美意識の変化がありました。この頃、シルクロードを通じてもたらされた西方のガラスや銀器に触発されて、白磁という新しいファッションがたいへん流行しました。唐時代の人々も結構、新しもの好きだったようです。
この胴が丸々と豊かに張った壺は、万年壺と呼ばれます。穀物などが入った状態で出土する例があることから、万年の糧を蓄える壺として、この名が生まれました。まさに盛唐期を代表する器形といえます。底裏は平底で、宝珠形のつまみをもつ蓋がついています。
この時期の豊かな文化を象徴するように、よく整った美しい形をしています。